海のなかまたち
特別インタビュー企画 鉄崎幹人さん

毎回、さまざまな海に棲む生物をピックアップしてご紹介している「海のなかまたち」。今回は、特別企画として、海に棲んではいませんが、海を愛し、見つめ続けてきた人間(ヒト)、鉄崎幹人さんにお話を伺いました。

この近くの海に最近、行かれましたか?
夏頃だっとおもうんですけど、渥美に近い海上だったかな。船釣りで「びっくりするほどデカイ」カサゴを釣り上げたんですよ。お造りにして食べたんですけど、あまり見ない大きさなので、写真を撮りました。美味しく食べられましたよ。
カサゴのお刺身
この近くの海でそんな大きな魚が採れるんですね。
他にも、貝などを採ったりと、色々な場所がありますよ。水が汚くて洗剤の味がする貝なんてのを食べたこともありますが、美味しく食べられるものが、近い場所でもたくさんあります。
三河湾など、かなり浄化が進んだように感じますか?
水がきれいという点では、透明度も高くなり、良くなっていると感じる事もあります。魚を採ったりしても、収穫は多くあがるようになりました。
今なお、豊かな海という事ですね。
「「豊か」ではないと思います。僕は、水がきれいになれば、海底のゴミが減れば「豊かな海」であるとは思いません。「透明度は高いけど魚が少ない」とか、「ある特定の魚や鳥たちはとても多いんだけど・・・」というような海が豊かかというとそれも違うでしょう。」色々な種類の生物、言い方を変えると、「多様な命」を育んでこそ「豊かな海」と呼べるんではないでしょうか。

スナメリというイルカがいます。三河湾にもいるイルカなのですが、このスナメリの数は、減ってこそあれ、増えているとは思えません。その海域での生態系の頂点に近い生物であるスナメリは、様々な生き物が増えなければ、その数が増えることは難しいと言えます。その意味で、スナメリは、その海が豊かであるかどうかの、バロメーターであるとも言えます。

豊かな海を増やすために必要なものは何だと思いますか?
たくさんの人が携わり、色々な取り組みをされています。それぞれに大切な事なのですが、我々人間の出来る事には、やはり限界があります。豊かな海を取り戻すためには、自然の力を借りる事が大切です。

たとえば、「藻場」という言葉を聞いた事はありませんか。陸上の森や林と同じように、海中にある海草や海の藻の群生しているところを藻場と言うんです。これが、海中のプランクトンなどの酸素の供給源になったり、魚とか海老や蟹の隠れ場所・棲家・産卵場所となったり、大型動物のエサになったりするんですよ。また、それだけじゃなくて、藻場そのものが水を浄化していく効果もあるんです。

ですから、水質の悪化や、埋め立てなどで、どんどん藻場が失われているという現状を何とかしないといけません。藻場が増えれば、生き物も増え、水質も良くなる。とても大切なものですから。

そして、もう一つが干潟。干潟もまた、たくさんの生物の生息地であり、海水を浄化する効果があります。 今、人工的に藻場や干潟を作ろうとする動きがあります。今ある藻場や干潟を守りつつ、そうやって生物の棲める場所を増やしていく事が大切ですね。

私たち一人ひとりにできる事はなんでしょうか。
藻場や干潟を作る事は、個人では難しいですからね。

ただ、私たちの生活は配水管を通じて川に繋がっています。川は海へと流れ込んでいます。川を汚さないように気をつける事が、海とそこに棲む生物たちを守る事に繋がるという事は確かでしょう。

私たちは、毎日の生活で排水口に色々なものを流してしまっています。ジュースの飲み残しや、お味噌汁の残りなど、それがどのくらい水を汚してしまうのか、そういう事を考えるのも大切だと思います。

たとえば、200mlの水に一滴のオレンジジュースを落としたとします。すると川の汚れをあらわすBODの数値は驚くほど上がってしまいます。たった一滴で。私たちにとっては食べ物や飲み物であったものは、川の水にとっては有機的な汚れなんですよね。バクテリアが分解はしてくれますが、一定量を超えると、分解されずにどんどん汚染された水は増えていき、最終的に海が汚れてしまうのです。

BOD ・・・ 生物化学的酸素要求量
好気性バクテリアが、水中の有機物を酸化分解するのに必要な酸素量で、水質汚濁の指標の1つ。普通20℃において5日間に消費する量を、ppmまたはmg/lで示す。化学的酸素要求量(COD)が海域や湖沼で用いられるのに対し、BODは河川の汚濁指標として用いられる。
食べ残しを排水口に流さない事が大切なんですね。
それも大切な事なんですが、僕はもっと違う部分にも目を向けて欲しいと思ってます。 僕は子供たちと話す時に、汚れた水の中で採った貝を食べた話をします。洗剤の海で採れた貝は、本当に洗剤の味がするんですよ。その話を通じて、身近なものである洗剤が、海と繋がっている事を感覚的に知って欲しいと思ってます。排水口に食べ残しを流さない。油は燃えるゴミに捨てる。方法論を知る事も大切な事なんですが、私たちの生活が自然と繋がっている事を知る事も大切な事だと思います。そうなって初めて、生活の中で実践できる事もあるんじゃないでしょうか。

僕は日ごろから、食べ物を残さずに食べると3つのものが喜ぶと言ってます。1つはお父さん、お母さんが喜ぶ。2つ目は、川や海などの自然が喜ぶ。そして3つ目は、食べ物になった「命」が喜ぶんだと言ってます。

牛や豚、米や野菜、色々な命を無駄なく食べる事、それを通じて、私たちの生活と自然が繋がっている事を子供たちには教えてあげて欲しいですね。

海の風景
七里の渡し跡

慶長6年(1601)に制定された「東海道」の、桑名宿と宮宿の間は、海路を船で行き来していました。その間が、七里の距離(約28Km)であった事から、「七里の渡し」と呼ばれています。桑名側と宮側、それぞれの発着場を「七里の渡し」と呼び、桑名側は、現在の桑名市船場町に、宮側は、現在の名古屋市熱田区に位置します。

天明年間(1781〜1789)には、南へと下る伊勢路が、ここ桑名から始まる事から、ここにある大鳥居は、伊勢神宮の「一の鳥居」と称されています。

七里の渡し跡

桑名側の七里の渡しは、明治に入り東海道が廃止された後も、揖斐川上流の大垣方面への河川物流の中継地として栄えました。伊勢湾台風以後、高潮防波堤の整備とともに、港としての機能は失われましたが、大鳥居など以前の風景を偲ばせる史跡が残されています。 今後も行われる七里の渡し周辺の高潮堤防事業については、木曽川下流河川事務所(http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/)の主要事業に紹介しています。

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